魔法と魔法使いについて

今回は、魔法と魔法使いについて書いていきたいと思います。


僕たち魔法使いが魔法という力を扱えるのは、「原初の魔法使い」が世界に振り撒いた祝福の影響下にあるおかげです。つまり、本当の意味で、0から1を生み出す奇跡のような力を持っていたのは「原初の魔法使い」だけで、僕たちはその力を借りているに過ぎません。


魔法を使うためには、想像力と、その想像を絶対に実現させる、という強い意思が必要です。つまり、空を飛ぶためには、飛んでいる自分をイメージし続ける必要があり、それなりの集中力も必須となります。

とは言え、祝福の影響を多く受けている魔法使いであれば、想像力の重要度はそこまで高くありません。

ですが、祝福の影響をあまり受けていない、僕のような魔法使いにとっては、想像力だけでなく、意思も、集中力も、全てが重要な要素になってきます。もし、僅かでも自分が失敗するところを想像してしまったら、たちまち魔法に悪影響を及ぼし、持ち直すのも難しくなるからです。


そんなわけで、空を飛ぶ事ひとつを取っても、「空を飛ぶイメージを維持しやすい状況」を作り出す事が何より大事になってきます。そのため、飛び方や道具の有無などは人によってかなり異なります。

僕の場合、幼少期から箒で飛ぶ祖母を見て育った事もあってか、箒での飛行は比較的得意な部類です。逆に、絨毯での飛行は物凄く下手で、数分飛べたら御の字、というくらい苦手です。


前回は、祖母について少し書かせて頂いたのですが。僕たち魔法使いにとっての最盛期がいつか、と言うと、それは正に祖母が活躍していた時代の話で。あの頃と比べ、魔法使いの数は年々減少し、力も弱まっているのが現状です。既に、とても力の強い魔法使い(大魔法使い)は1人も残っていません。これについては、祝福の力が弱まっているに違いない、とか、色々な意見があるのですが、本当の原因については不明の状態が続いています。


もし仮に、世界から祝福が完全に消えてしまったら、それと同時に、魔法使いは魔法の力を失うはずです。そうなったら、今まで魔法で作られた建物はいったいどうなるのか。その点だけが、昔からの心配の種です。おそらく崩れる事も消える事も無い、と考えられてはいますが、現時点では全てが推測でしかありません。ともかく、備えだけは万全にしておこうと思います。



今回どうしても伝えたかった事を、最後に少しだけ。

冒頭に書いた通り、「魔法使い」は祝福の影響によって魔法が使えるだけで、人間であることに変わりはありません。老化の速度も、寿命も、一般的な人間と同じものです。怪我をすれば痛いし、魔法の扱いは難しく、その力も万能なものではありません。

皆さんの世界における「魔法使い」がどういったものなのかは、あまりよく分かっていないのですが。この文章を通して、僕が、得体の知れない存在ではない、ということを分かってもらえていたら嬉しいです。


……このくらいで、魔法について大まかには伝えられたでしょうか? 他にも、魔法で出来る事や出来ない事の違い等、書けることはたくさんあるのですが。ともかく、今回はこのくらいにしておきたいと思います。



コル・トワノ