- 302???????? - 削除済/あるいは元より存在しないもの

老化という現象と無縁になって、80年ほど経った頃だろうか。果たして、成長を止めたはずの体が変容を見せた。
そうして、どうやら自分の生にも「限界」があるらしいと悟った。


随分長く育った髪を一つに結い留める。
自分が過ごした時間を見失いそうで、何も手放せなくなったから、この重さはその証拠だと思うことにしている。
伸び切った体からの景色も最早見慣れて、だからと言って、どの目線で見る光景も凄惨なものに違いはないので、もうどうだって良かった。


1人になった。
唯一の親友が死んだので。
大切な友達が死んだので。
友だちという立場に立って、必死に守っていた子どもが死んだので。
仲間たちが、後輩が、周囲の人間が、死んだので。それから、世界が死んだので。


双子の兄は、やはり僕と同じ顔をして、今度はよく笑うようになった。
曰く、僕の笑顔が枯れたから。……どうだろうか。
鏡を見る機会も無くした僕には、もう分からないことばかりだった。